フロン排出抑制法とは?概要をシンプルに解説
第一種フロン類充塡回収業者は、都道府県に登録をしないと業務を行えません。
ではなぜそもそも登録をしなければいけないのか。
その根拠となる法律がフロン排出抑制法です。
※正式名称は「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」といいます
フロンを取り扱う事業者は、フロン排出抑制法の趣旨をある程度理解しておいた方がいいので、本記事でシンプルに概要を解説します。
フロン排出抑制法の目的
フロン排出抑制法は、その名称からわかる通り、地球環境に悪影響を及ぼすフロンを適正に取り締まるためにできた法律です。
フロンが及ぼす悪影響は主に以下の2点。
・フロンは強力な温室効果ガスのため、地球温暖化の要因になる
・オゾン層破壊
フロンは二酸化炭素の数百倍から1万倍以上の温室効果があり、みだりにフロンが大気に漏洩してしまうと、地球温暖化のスピードが加速します。
さらに、フロンが漏洩すると、フロンは成層圏にあるオゾン層に到達し、オゾン層を破壊してしまいます。
オゾン層が破壊されると、有害な紫外線を吸収できなくなり紫外線量が増え、地球で生きる我々に様々な悪影響を及ぼします。例えば、皮膚のしわ、老人斑、皮膚がん、白内障等の健康被害が増加します。
なのでフロンは慎重に扱わねばならない。こうした認識に基づき、「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が定められ、同条約に基づき、オゾン層破壊物質の生産・消費を規制する「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が発行されました。
フロン排出抑制法が施行されたのは、そうした背景があるからです。
フロン排出抑制法の「フロン類」とは何?
フロンとは、フルオロカーボン(フッ素と炭素の化合物)の総称です。
フロン排出抑制法でいう「フロン類」とは、以下の代表的な3つのフロンを指します。
・CFC(クロロフルオロカーボン)
・HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)
・HFC(ハイドロフルオロカーボン、代替フロン)
CFCとHCFCは、オゾン層破壊効果も温室効果もある一方、代替フロンのHFCは温室効果はある一方、オゾン層破壊効果はありません。
もっとも、代替フロンも温室効果がある以上、環境省はノンフロン機器の導入を積極的に進めているという現状があります。
フロン排出抑制法で定められている事業者の義務
フロン排出抑制法が関係してくる事業者は以下です。
・フロン製造業者等
・フロンの管理者
・第一種フロン類充塡回収業者等
・第一種フロン類再生・破壊業者
これらの事業者は、フロン類の取り扱い、フロン機器の点検、フロンの漏洩量の報告など、フロンに関する様々な義務を負います。
当事務所は、第一種フロン類充塡回収業者の登録がメインですので、第一種フロン類充塡回収業者について解説します。
第一種フロン類充塡回収業者とは、文字通り第一種のフロン類を充塡回収する業者のことを指します。
第一種フロン類とは以下です。
①エアコンディショナー又は冷凍冷蔵機器(冷凍冷蔵機能を有する自動販売機を含む。)である。
②業務用として製造・販売された機器である。
③冷媒としてフロン類が充塡されている。
④第二種特定製品ではない。
上記を全て満たす製品のことです。
この第一種フロン類を充塡回収する者は、その業務を行う区域を管轄する都道府県知事に登録を受けなければなりません(第27条)。
なので、例えば神奈川と東京で第一種フロン類充塡回収業務を行う場合、神奈川と東京それぞれで登録を行う必要があります。
そして、第一種フロン類充塡回収業者が業務を行う上において、主に以下の義務を負います。
・管理する第一種特定製品の設置環境・使用環境の維持保全
・簡易点検・定期点検(簡易点検は3ヶ月に一度、定期点検は1年に1回、又は3年に1回)
・漏えいや故障等が確認された場合の修理を行うまでのフロン類の充塡の原則禁止
・点検・整備の記録作成・保存
・「充塡or回収」証明書等の交付
・年度報告(毎年度、前年度の充塡量や回収量、引渡量などの実績を都道府県知事に報告する義務があります)
罰則について
フロン排出抑制法の罰則について、列挙して説明します。
罰則は、その重さに応じて「拘禁刑(懲役)や高額の罰金」から「過料(行政罰)」まで段階的に規定されています。
- 最も重い罰則:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第103条)
以下の行為を行った場合に科されます。
- 無登録での営業: 都道府県知事の登録を受けずに、第一種フロン類充塡回収業(充塡または回収)を業として行った場合。
- 不正な登録・許可: 登録やその更新、または再生業・破壊業の許可を不正な手段で受けた場合。
- 業務停止命令の違反: 知事や主務大臣から命じられた業務停止命令(充塡回収業、再生業、破壊業)に違反して業務を行った場合。
- 無許可での再生・破壊: 許可を受けずにフロン類の再生または破壊を業として行った場合。
- 無断での事業内容変更: 再生業または破壊業において、フロン類の種類や設備などの重要事項を許可なく変更した場合。
- 秘密保持義務違反: 情報処理センターの役員や職員が、業務上知り得た秘密を漏らした場合。
- みだりな放出の禁止違反: 特定製品に冷媒として充塡されているフロン類を、みだりに大気中に放出した場合(第86条違反)。
- 50万円以下の罰金(第104条)
以下の命令違反や不適切な廃棄・引取りを行った場合に科されます。
- 改善命令等への違反: 指導や勧告を経て出された、措置を講ずべき旨の命令に違反した場合(製造業者への勧告、管理者の判断基準、充塡回収業者への基準遵守命令など)。
- 不適切な廃棄等: フロン類が充塡されていないことの確認を受けずに、または回収依頼をせずに第一種特定製品の廃棄等を行った場合(第41条違反)。
- 違法な引取り等の実施: 引取証明書の写しの交付を受けないなど、正当な手続きを経ずに第一種特定製品の引取り等(解体や譲受け)を行った場合(第45条の2第4項違反)。
- 30万円以下の罰金(第105条・第106条)
主に書類の交付や保存、届出に関する義務違反に科されます。
- 届出の懈怠・虚偽: 名称や住所などの変更届を出さなかったり、虚偽の届出をしたりした場合。
- 回収依頼書・委託確認書の違反: 廃棄等に際してこれらの書面を交付しなかったり、虚偽の記載をして交付したりした場合、およびその写しを保存しなかった場合。
- 引取証明書の保存違反: 引取証明書を保存しなかった場合(管理者)や、その写しを交付・回付・保存しなかった場合(引取等実施者)。
- 情報処理センターの義務違反: 業務の無断廃止、帳簿の記載不備、虚偽報告、立入検査の拒絶など。
- 20万円以下の罰金(第107条)
実務上の記録や報告、検査の拒否に科されます。
- 記録の作成・保存違反: 充塡量、回収量、再生量、破壊量などの記録を作成せず、虚偽の記録を作成し、または記録を保存しなかった場合。
- 報告の懈怠・虚偽: 都道府県知事への年度報告(充塡・回収実績など)や主務大臣への報告を行わず、または虚偽の報告をした場合。
- 立入検査の拒否等: 行政による立入検査や試料の収去を拒んだり、妨げたり、避けたりした場合。
- 両罰規定(第108条)
法人の代表者や従業員が、その法人の業務に関して上記の違反行為(第103条〜第105条、第107条)をした場合、行為者を罰するだけでなく、その法人に対しても各条の罰金刑が科されます。 - 10万円以下の過料(第109条)
行政上の義務を怠った場合に科される「行政罰」です。
- 算定漏えい量の報告違反: 管理者がフロン類算定漏えい量を報告せず、または虚偽の報告をした場合。
- 廃業等の届出懈怠: 充塡回収業、再生業、破壊業を廃止した際の届出を怠った場合。
- 表示義務違反: 特定製品の製造業者等が、フロン類の種類や放出禁止に関する表示を適切に行わなかった場合(第87条違反)。
まとめ
フロンに関係する事業者は、このフロン排出抑制法の概要を理解しておこくとが必須です。
例えば第一種フロン類充塡回収業の登録を受けずに、フロンの回収業務などを行ってしまうと、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と重めの罰則が適用されます。
みだりにフロン類を放出するのも、罰則がある上に、地球環境を破壊する最悪の行いです。
フロン業務に携わる人は、フロン排出抑制法のポイントをしっかり押さえて適正に業務を行うようにしてください。
